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DX化が進まない組織と進む組織の差?

最近の出来事

オンライン会議の仕組みを導入して間もない某大学卒業生組織の理事会でのことです。「いつまでオンラインで理事会を開催するんだ」「オンラインだけでは会が活性化した気がしない」との声に、「まだコロナも沈静化していないしワクチンも・・・」というやり取り。

システム導入以前の会議は声の大きい人と決まった人だけの発言が目立ちましたが、システムに付随したブレークアウトセッション機能(少人数が小部屋に分かれて議論をする)のお陰で今まで発言しなかった理事が意見を言うようになり議論は活性化しているにも関わらず一部でこんな会話がされていました。コロナが収まったらオンライン会議は辞めてしまうのでしょうか?

一方、自分が所属する運動部系卒業生組織では平均年齢が45歳、オンライン会議の導入に若手の参加率はほぼ100%、定例会終了後はオンライン営業ノウハウ交換や社内オンライン会議を阻害する上司の話題で盛り上がります。

今後も年1回の総会以外はオンライン理事会を継続することで決定。今まではその場の採決で先輩の顔色を見て反対しにくい場面もあったが、瞬時に出る採決機能で反対の意思表示が明確にできるといったメリットを挙げている若手もいました。

ネット上では様々なオンライン推進派対否定派のアンケートデータが出ていますが、総じてビジネスマンでは40代以上に否定派が多く、30代未満では推進派が多いのはITリテラシーが起因しているのでは。

因みに、学生が対面授業を望む次元の話ではなく(キャンパスで友人作りの大事さや課外活動の重要性等を否定する人はいないのでは)あくまでオンラインコミュニケーションを全否定する風潮に対しての意見です。

 

ITリテラシーの必要性

オンライン会議を大変うまく使いこなしている平均年齢70歳超えの卒業生組織の理事会では活発な議論を繰り広げ着実に成果を挙げています。お孫さんとオンラインで話せるようになったと自慢する微笑ましい姿には感動すら覚えます。

その組織がDX化(面談会議や会報誌のコミュニケーションから、メールやオンライン会議などデジタルの世界へ変換していく)したから成功し始めているということではなく、それ以前に大きく2つの視点が明確だったからだと考えています。一つは明確に目指す姿を示したこと(戦略的意図)、そして利用者の目線で会員に寄り添った取り組み(利用者目線)の実施です。

ちなみに最近ではIT後進国ではないかとまで言われている日本。2000年代に米国で始まった将来を見越して「科学、技術、工学、数学」の教育分野に注力する教育モデルであるSTEM教育で日本は最低レベルといった記事※が出ていました。これからの世界で必須となるIT活用において致命的なことかもしれません。まず諸先輩である高齢者が範を示していかなくては・・・・ 

※News Week日本版 2021年3月10日
日本は最低レベル──世界で進む「STEM教育」の重要性
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2021/03/stem_1.php

DX化への大事な2つの目線

①戦略的な意図の明示

何故DX化が必要なのか、我々の目指す姿は何かを明確にしました。この情報化時代に今日起きたことを明日には伝達できる迅速性、圧倒的に普及したスマートフォンで情報が伝えられる利便性、紙媒体よりも圧倒的な低コスト、日本全国・世界各国でも繋がる地域網羅性、誰がどのようなことに反応が高いのかといった検証等々です。

②徹底した利用者目線

ITリテラシーが低い方に文句を言っても始まりません。クリックってなんだ?インストールってなんだ?から始まることもよくあることですから、オンライン会議システムどころかPCがわからない方に専門用語は禁句です。その組織では、オンライン会議の初心者研修をはじめ、システムの貸し出しも施策化したうえでの主催者研修、更にオンライン会議の上級者研修も定期的に開催するほどの徹底ぶりで(最初は特別なプロの支援も借りて)、更にはオンライン研修にすら入れない方には、事務局メンバーが電話片手に個別レッスンを実施しています。

そうこうしている内に仲間内で自主研修会まで開催され、卒業生の親睦が深まる副次効果が出てきたと驚いたのもつかの間、目的を達成するマインドに加え寄り添う気持ちが70歳を超える「オンライン会議の達人」まで生み出されるまでに。事務局は「繋がって自慢する高齢者の姿が当会の自慢です」とまで言い切っていらっしゃいました。

デジタルと言えども心のこもった内容、それを支える相互扶助があって初めて効果が出るものだと思います。

コミュニケーションのDX化でお悩みの方がおられましたら、遠慮なくご相談ください。