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合意形成の壁を越え100年続く大学へ

100年持続する大学へ「学内の合意形成」の壁を越え、ステークホルダー財産化へ踏み出す道筋

時代の転換点~社会実装力と財務基盤の二大潮流

日本の高等教育機関は、今まさに大きな転換期を迎えています。少子化の加速による大学の統廃合、そして世間やステークホルダーが大学に寄せる評価の軸が「社会実装力」へとシフトしている現実は、大学の皆様が最も強く実感されていることと存じます。

この環境下で大学が自立し、独自の教育・研究を維持するためには、従来の授業料や交付金に依存しない、強固で多角的な財務基盤の確立が不可欠です。

そこで既に先行大学で実績が顕在化している、大学を取り巻くあらゆる人脈と資源を再定義する「ステークホルダーの財産化」です。毎年数千から数万社に及ぶ求人企業、数万人〜数十万人の卒業生、その保護者、地域社会。

これらの方々とのコミュニケーションを活性化し、産学連携による研究費獲得にとどまらず、知的財産収入、大学発スタートアップへの投資、企業とのJV、社会人教育の受注、そして寄付金の獲得へと繋げていく――これこそが、これからの100年を見据えた大学経営のグランドデザインです。

しかし、この必要性を十分に理解しながらも、「次の一歩」に足踏みしてしまう大学が、この先「なぜあの時に投資しなかったのか」と極めて近い将来に向かえる可能性が極めて高くなっています。

なぜ動けないのか?大学で良く聞く「4つの言い訳」

多くの大学で「ステークホルダー財産化」の議論が持ち上がりながらも、学費外収入が成長性の少ない食堂・清掃・代理店・グッズ販売等の事業会社収入や一部不動産投資といった、収益事業にとどまってしまうのはなぜでしょうか。本音として聞こえてくる「一歩を踏み出せない理由(言い訳)」は、大きく次の4つに集約されます。

(1)「前例がない・学内の合意形成が難しい」

大学は伝統的にコンセンサス(合意形成)を重視する組織です。教授会や学内手続きを重んじるあまり、民間企業のようなスピード感を持った新しい収益事業への参入に対して、「過去に前例がない」「失敗したときの責任の所在が曖昧」といったブレーキがかかります。

(2)「ノウハウを持つ専門人材がいない」

知的財産ビジネス、ベンチャー投資、JVの設立、企業向けの高度な社会人教育プログラムの開発など、どれも高度なビジネススキルを要するものばかりです。現在の大学職員の多くは行政事務や学生支援のプロであり、こうした「仕掛け」をゼロから構築するノウハウを持っているケースは稀です。

(3)「既存の業務が多忙でリソース(人手)がない」

少子化対策、入試改革、DX対応、日々の学生対応など、現場の職員はすでに既存業務で手一杯です。「これ以上、新しい大規模なプロジェクトを立ち上げる余裕はない」という現場の悲鳴が決断を鈍らせます。

(4)「民間企業のようなリスクは取れない」

大学は公共性の高い組織であり、「投資」に対して極めて慎重です。「もし失敗して大学のブランドに傷がついたらどうするのか」「確実なリターンが見込めないものに予算は割けない」というリスク回避の心理が働きます。例え、ステークホルダーの財産化が、金利商品運用とは同等ではないとわかっていてもです。

しかし、これらの理由は本当に「動けない原因」なのでしょうか。実はこれらは表面的な事象に過ぎず、本質的な問題のすり替えに過ぎません。

特に進まない原因は下記2点に集約されやすいようです。

■知的財産ビジネスやベンチャー投資を先導できる専門人材(ノウハウ)がいない

■日々の入試改革やDX、学生対応で現場は手一杯であり、新しいプロジェクトを動かす人手(リソース)がない

しかし、この理由は解決策があるにもかかわらず決断を先送りすることは、変化の激しい現代において、どのようなリスクをはらんでいるのでしょうか。

歴史が証明する教訓:「慎重な現状維持」が招いた企業の衰退

ここで一度、民間企業の歴史に目を向けてみます。「意思決定に時間がかかる」「ノウハウやリソースが足りない」と、未来への投資を先送りした結果、市場から淘汰されてしまった巨頭たちの姿は、現在の大学にとっても決して他人事ではありません。

■象徴的破綻:コダック(Eastman Kodak)の悲劇

写真フィルムの巨人であった米コダックは、世界で初めてデジタルカメラを開発した技術力を持っていました。「デジタル化の波が来る」という未来予測も、経営層は完全に理解していたのです。

しかし、彼らの足を引っ張ったのは「社内の合意形成」でした。主力であるフィルム事業に関わる膨大な社員や既存組織の反発、そして「デジタル事業への投資は、自社の既存利益を損なうのではないか」という慎重論の泥沼から抜け出せなかったのです。

結果、本格的なデジタル投資への舵切りが遅れ、2012年に破産に追い込まれました。現状維持という「最もリスクの低い、全員が納得しやすい道」を選び続けた結果、最大の破滅を招いたのです。

■変化のスピードに遅れたガリバーたち:ノキアとブロックバスター

携帯電話市場で圧倒的なシェアを誇ったノキアや、全米最大のビデオレンタルチェーンだったブロックバスターも同様です。スマートフォンやネット配信(Netflixなど)の台頭という「理屈」はわかっていながらも、既存の組織構造やリソースの最適化に縛られ、未来への投資を躊躇している間に、新興勢力にあっという間に市場を奪われました。

これらの企業トップも、決して無能だったわけではありません。「社内の調整が必要だ」「いま動くにはリソースが足りない」という、組織としての理由(コンセンサス)を重視しすぎた結果、未来の収益源を構築するための「投資」のタイミングを逃してしまった。これこそが本質です。

大学が「学内の合意形成」や「ノウハウ・リソース不足」を理由に、ステークホルダー財産化への本格的な投資を先送りすることは、まさにこれらの企業が歩んだ道と重なるリスクを秘めていると言えます。

外部リソースをテコ(レバレッジ)にした、スマートな投資の決断へ

民間企業の教訓が示す通り、本当に恐れるべきは「新しい挑戦による失敗」ではなく、「合意形成とリソース不足を理由に、投資を先送りし、現状維持のまま衰退していくこと」です。

では、学内のコンセンサスを重視しつつ、ノウハウやリソースの壁を突破するにはどうすればよいのでしょうか。

その答えは、「すべてのノウハウやリソースを、学内で内製化しようとしないこと」にあります。

変化の激しい現代において、ゼロから学内に専門人材を育成したり、現場の職員の負担を増やして新しい仕組みを作ろうとしたりすることは、時間的にも体制的にも困難です。だからこそ、外部の知見とリソース(SCNSなど)を活用するという「投資」が必要なのです。

(1)「前例がない、ノウハウがない」からこそ、数々の大学で実績を持つ外部の専門家をコーディネーターとして活用する。これにより、学内への客観的な説得材料が揃い、むしろ「合意形成」のスピードは劇的に向上します。

(2)「現場のリソースがない」からこそ、実務の多くを外部に委託(投資)し、教職員の皆様には本来の教育・研究、そして重要な意思決定に専念していただく。

外部のリソースを活用して「ステークホルダーの財産化」という仕組みを構築することは、単なる経費の支出ではなく、将来的に数倍、数十倍の財政基盤となって返ってくる「確実な投資」です。

「学内の足並みが揃わない」「リソースがない」という課題を、そのまま「動かない理由」にするのではなく、「だからこそ外部を活用してブレイクスルーする」という決断を下すこと。

100年持続可能な大学へと進化するために、今、求められているのは、外部の力を賢くレバレッジ(テコ)として使いこなす、一歩進んだ経営投資への英断です。

機会を逃さない為にも是非お気軽にご相談ください。