雑談を侮るなかれ!若年層の声を聴け!
当たり前ですが価値観は変わります(笑)
「最近の若い連中は母校愛が足りない」「親切心とか奉仕の精神が・・」との声を卒業生組織や大学の方から良く聞きます。特に、卒業生組織の高齢化は共通した課題であり、解決策を講じようとされています。
解決策を講じるには、その原因を把握しなくてはならないのですが、卒業生組織の中には「高齢化社会」を原因とするケースすらあります。確かに日本は超高齢社会、65歳以上の構成比が28.4%なのは事実。若年層(20代~30代と仮定)が卒業生組織へ参画する率が30%もあり、なかなか50%にもいかないと言うなら分かるのですが、実質の参画率が1割にも満たない中、若年層の参画率が低いのですから原因には該当しないはずです。
以下の点について、判断できるレベルの調査が行われているのか胸に手を当てて考えてみてください。
①ニーズを把握しているか?
②価値観を理解しているか?
③生活様式を理解しているか?
④ターゲットにきちんとコミュニケーションをとっているか?
例えば、若年層に土日の朝オンラインミーティングに誘うより、水曜や土日の20時以降に誘うと出席率が圧倒的に違います。年に数回の会報誌でコミュニケーションが取れると考える方が不自然であり、インターネットによるコミュニケーションは当たり前の時代になっているのです。
現在の組織で幹部メンバーとなっている方々の時代はマイカーを持つのが夢でしたが、今は車離れが進み、車を保有することよりもカーシェアリングの利用が伸びています。世帯別乗用車普及率を見ると、30代~50代では80%以上ですが、20代は2017年で48%。消費傾向も情報収集傾向も労働時間も時代環境は大きく変化するのですから、価値観が変わるのも当たり前ではないでしょうか?
若い人の声を聴く
「気づき・発見を得るのが定性情報、判断を行うのに必要なのが定量情報」と言うのは皆さんもご存知だと思います。私の知る限り大半の膠着した組織幹部は、問題の原因を探るための情報入手が上手ではないように思います。逆に常に前に進む組織は、仕組み化された定量情報入手よりも、世間の変化に敏感な定性情報を入手することに長けています。
「うちは若い人と会話をしている」と事前にメンバーを選んでヒアリングされるケースもありますが、公式の場(選ぶ段階で既に公式)で本音を聞くのは率直に不可能だと思っています。参加者として選ばれた方も無難に言葉を選び回答しますので、終わった後に「予想通りだった」という声も割と聞こえてきます。若年層に限らずターゲットとする層に本音を聞くことは、実はスキルや仕組みが必要です。
先日TVでも紹介されていたAmazonパソコン・周辺機器部門TOP20に4つもランクインする会社「Anker(アンカー)」は、お客様の声を聴くカスタマーサポートに大きく投資し、「痒い所に手が届く」と評判に評判を呼んで大成長している会社です。お客様の声を徹底的に聞き「こんなのがあったら便利」を製品化して大きく成長しています。興味のある方は写真下にあるアドレスを参照してください。
そうはいっても、どうやって若い人の本音を聞き、気づきや新たな発見となる定性情報を探すんだと思われるかもしれませんが、そのヒントが「雑談」なのです。
雑談から生まれる発見と本音。東洋大学校友会の取り組み
つい最近(一社)日本能率協会が、2021年8月13日~23日までビジネスマン1,000人にアンケートを実施し、コロナ禍でテレワークが進む中の意識調査を実施しました。(10月4日ニュースリリース参照)
その中で、なんと
・全体の6割が「雑談」は業務の生産性を高める。
・全体の6割が「雑談」は業務の創造性を高める。
・雑談があることは、自身にとって「プラス」が8割超。
との結果が発表されました。
雑談は、リラックスした場で本音を話す効果がある為、新たな発見が生まれやすく、マーケティング上の開発手法である「グループインタビュー」にも利用されています。
その効果を実践している卒業生組織に、一般社団法人東洋大学校友会(会長 神田雄一様https://www.alumni-toyo.jp/news/majizatsu/)があります。東洋大学校友会様は、創立者井上円了先生が外遊中のイギリス家庭の団らんにヒントを得て、寄宿生に「茶会」を開き感性を磨いたことを現在で実践されています。
対話の精神を大切にし、自分の考えを強制せず、リラックスした中で本音を探るために「真面目な雑談=通称マジ雑」というオンラインのオフサイトミーティングを実施し、各世代向けの校友会活性のヒントにしているそうです。
メールコミュニケーションが可能な多くの会員から自主的に参加して頂ける方を募り、目的を持たない雑談の中で会員の声を聴く姿勢は素晴らしいものだと思います。その中で得られたヒントを、今校友会活性の施策として活用を始められ、着実な実績を積み上げています。
「若い人も母校を誇りに思いたい気持ちは変わらない。ただ、その貢献方法に対する価値観がこんなにも違うのか」
気づきとしての定性情報の入手方法や施策化する際の定量情報入手の仕組みに課題を感じておられる方は遠慮なくご相談ください。