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DXは他人事ではないはずです

「まだオンライン会議をやるのか?」の苦情はさておき・・・Web3.0?

先日ある卒業生組織の地方支部長から「まん延防止も一段落したのに、まだオンライン会議を続けるのは許せん」との苦情があったそうです。その支部は、ご多分に漏れず会員が高齢化しており、4回目のワクチン接種がネット予約化され、地方行政が地方活性化に向けてICT推進強化に大きな予算をつけるご時世とは関係なく、「顔を合わせて話すのが第一だ!」と持論を展開。全国から100名以上の幹部を集めた集会を開催しても、発言するのは数人程度だったりするのですが・・・

さて本題です。自動車産業ですら負け組になると言われ、IT後進国化した日本。年初の経団連調査報告では大学に期待するにあたり、20代~50代までIT活用が出来ないことへの対応要求、3月30日には自民党も?プロジェクトチームから「Web3.0に向けた環境整備を!」との提言がありました。Web3.0担当大臣設置は、台湾のオードリー・タン氏に刺激されての提言かも知れませんが、デジタルデータを唯一無二のものと証明する「NFT=非代替性トークン」やNFTの決済手段となる暗号資産に対応する税制改正や環境整備を提言しています。

ちなみにWeb3.0って何?という方は少ないと思いますが、Web1.0がWebサイトを作って情報発信できるようになり、テキストデータ中心のどちらかというと一方通行のコミュニケーションです。それが瞬く間に進化しTwitter、YouTube、Facebookが動画・画像コンテンツ当たり前のSNS全盛となるのが「Web2.0」と呼ばれる現在身近な姿です。今は双方向コミュニケーションが当たり前となりますが、そこにも欠点の存在が明るみに出ます。

Google、Metaを見てわかる通り、Web2.0は中央集権的な仕組みですので、サイバー攻撃に対するセキュリティリスクや、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の独占が問題になっていました。Web3.0の基盤となるブロックチェーンの技術は、インターネット上の取引データを適切に記録することですから、不正アクセス、改ざん等がすぐに検出されます。

巻き返したい教育分野、特にAIとDX

科学技術の進歩、特にWebの進化が半端ない現代社会において、大学での学びが一生通用する訳ではないことは誰もが理解しているはずです。よって、時代環境に即して必要な知識やスキルをアップデートするリカレント教育は極めて重要な位置づけとなります。

その中でも実社会ではAIとDXは必須の知見となると各方面で言われています。AIをプログラミングしろというのではなく、AIとは何か?どうビジネスに使われているのか?DXって何ではなく、ITがビジネスモデルを変化させることを理解して、活用していくことではないでしょうか。

コロナ禍で通信販売を利用される方が増えましたが、気の利いた勝ち組のサイトは、過去の注文から好みを学習し、検索の上位に来やすくしていますし、配達では不達のリスクを避けるアプリが大活躍です。これらの知識も難しい言葉を並べるとわかりにくいのですが、大きく3つの技術を知ればよいのです。

一つ目が情報技術(IT:Information Technology)ですが、把握したデータを処理して人間が利用できる形にする技術です。この辺は周辺にたくさん存在しますので大丈夫かと思います。二つ目が機械学習(ML:Machine Learning)です。

代表的なのが「ググる」の言葉でなじみが深い検索エンジンです。キーワードで関連情報を探す検索エンジンは、人気の高い情報を常にアップデートして検索しやすくすることから学習=Learningと呼ばれるのです。

そして3つ目が深層学習(DL:Deep Learning)です。この部分はまさにAIのコアともいえるのですが、最初は人間がプログラムを書きますが、その後はソフトが状況を把握し評価をして自立を始める仕組みです。

これも例を挙げればわかりますが、運転者が結構関与する「自動運転」ではなく、「自立運転」で運転手がいらない技術です。既に実用段階に入っている技術です。これらの技術を使って、ビジネスモデルを変化させることをDX(Digital Transformation)と呼ぶのです。

貧すれば鈍する?卒業生組織も同じでは・・・

ここ10年以上共通して倒産した老舗には一つの大きな特徴があると言われています。時代の潮流にのる投資を怠り、売り上げが減った時に主に経費削減策しか講じなかったことと言われています。

ポイントカードにはいち早く対応したが、お客様の購買動向を把握して痒いところに手が届くマーケティングシステムを導入せず、100年以上の歴史を誇る山梨の老舗スーパー「やまと」は2017年にその幕を閉じました。

社会貢献として、ホームレスを就労させ、環境問題対応として家庭ごみ回収にインセンティブをつけ実施するなど時代の先取りをしていたのですが、肝心の商品力に投資せず、赤字に対して経費削減しか手を打たなかったと言われています。

人件費を抑制すれば有能な人材は去っていく、お客様訴求を削れば新たな顧客は来ない、更に旧態依然とした会計士や役員は口を揃えて「コスト削減」。一方、コロナ禍、ウクライナ問題含め時流を読んだ経営者は、在庫削減をせず利益を創出し、新たなDXに投資を行います。

卒業生組織の運営も同じではないでしょうか?在校生から徴収した大事な会費を高齢者主体の支部など傘下組織活動に多くを配分しても、卒業生は毎年多く輩出されるのにその活動に若手が入ってくることは少なく、活動そのものが低下し結果として悪循環・・・

IT推進を図ることにより、通信コストは会報誌や連絡も効率化されるにも関わらず、高齢会員の声が反映され、支部活動費や会報誌のコストは削減しない。

「顔を突き合わせなければ議論が出来ない→テーマを決めて効率的な運営の問題」「ワイワイガヤガヤが大事→アイデアだしのブレストルールの問題」など問題の本質を履き違え、結局一部の方だけが参加する卒業生組織から脱却できず、高齢化が進んでいるケースが多いように見えます。

Zoom(オンライン会議システム)の高度化はどんどん進み、空気感や雑談のレベルも既に克服された機能が整備されています。

コアを守り革新してこそ伝統は構築される

たいへん有名な500年続く和菓子伝統企業「虎屋」が、コアを守り革新を続け今も堅実に業績を伸ばしています。関東大震災時には、受注製造から店頭販売へ、第二次世界大戦後は砂糖が入りにくいので配給パン製造へ、バブル崩壊で法人需要が激減すると個人消費へ、コロナ禍で店舗臨時休業の際には病院、消防署、警察署で働く方々に和菓子を配布し、一方で生菓子の冷凍保存解凍方法を詳しく説明し通信販売で堅調な成果を出しています。

そんな虎屋は毎年微妙に味を変え、最近はやりのモダンカフェにも進出し、常に革新を繰り返しながらも、コアを守り続けています。虎屋のコアとは「本当に美味しいものを誠実につくること。一生懸命に和菓子を極めること」であり、それ以外に変えてはいけないものはないそうです。

これを伝統ある卒業生組織に置き換えると、それぞれ会の目的に必ず記載されている「会の目的」をコアと考えればよく、それ以外の伝統形式は時代に合わせて革新していくことではないでしょうか?

既成概念から、時代の潮流に即したコミュニケーションへの変革への移行に、お悩みの場合はお気軽にご相談ください。