汗をかくのは誰の仕事?
汗をかくのは誰の仕事?
2018年2月7日付日経新聞に「寄付金集め、熱帯びる、学長がセールス」という記事が記載されました。経費削減のため公用車を廃止した名古屋大学松尾総長がタクシーで寄付金集めに奔走し、「泥臭く」地元企業の経営者に「トップセールス」している状況が記事になりました。米国の大学では学長業務の3~4割が寄付金集めの例すらあるそうです。
「経営TOPの役割」
経営TOP業務は実際大変多忙です。
戦略企画を行い、ビジョンを示し、そのビジョン実行に際して、人材配置・資金の配分・・・・更に組織内の意識改革に腐心する。日本では給与の割にはという声もよく聞こえてきます。(人材流動が通常化されている米国では、学長クラスは1億円以上もざらです)しかし、それに対して愚痴もこぼさず、マルチタスクをこなさなければならないのが経営TOPなのです。
米国経営学者ヘンリー・ミンツバーグは「経営者10の役割」の中で、対人関係役割で部下のリーダーとなることに加え、リエゾンと呼びますが外部接触により情報と好意を得ることを強調しています。更に情報伝達役割として、組織内への周知伝達役であり、外部へのスポークスマンであることを求めています。既に皆様方の組織TOPは実践されておられますね。
「寄付金集めのプロジェクトオーナーは」
寄付金集めは全学的な活動であることは言うまでもありません。寄付金集めでは、様々なステークホルダーに対してのファン作りですから、寄付金集めのプロジェクトオーナーは理事長・学長、そしてプロジェクトを仕切るリーダーは募金担当理事が一般的です。その中でも月一回の報告会で組織TOPがメンバーを鼓舞し、自らが活動することを厭わない姿勢で臨んでいる組織は間違いなく成果が上がっています。
「寄付者の気持ちは・・」
某大学では、組織TOPが地方の校友会式典、或いは部やクラブの周年式典に参加する場合に、「交通費別に〇〇〇万円~の寄付」を相場にして伝えています。逆に開催者は、「〇〇さんが来られるのだから学校にこの位は寄付しなくては」とのマインドが浸透しています。
寄付して頂いた民間企業経営者にお聞きすると「学長が来られたら手ぶらはあり得ないし、さすがに〇〇以上は貢献したいという気持ちになります」とお答えになりました。
常連寄付者の卒業生の方は、「〇〇さんの具体的でわかりやすい話と情熱は伝わっている。母校の誇りを感じさせてくれる」
プロジェクトメンバーの方からは「新たな取り組みはよくあるんですが、尻切れトンボのケースが良くあるんです。でも最近では、寄付金集めは学校のブランド向上を目的とした学内改革だとわかってきました。毎回学長が学生の為に、多くのファン作りが必要と聞かされていますし。確かに自分で考えても、期待を超えるサービスがないとファンにはならないですからね」
このようなお話を伺う度に思うのですが、寄付金集めと民間のビジネスと同じ側面が多く、伝播する内容こそ違いはありますが、改めて共感してくれる支援者=ファン=の方々の気持ちや、そのファンづくりに汗をかくメンバーの気持ちを考えても、組織TOPの役割は大事なんだなぁと痛感します。
しかし、いくら組織TOPの方々が率先垂範しても、それは寄付金集めの一部にしかすぎません。また、別の機会にチームワークについても触れてみたいと思います。