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遂に差が出始めた卒業生組織の役割

大学の大きな変化、進む差別化

私学の雄と呼ばれる早稲田大学は、創立150周年となる2032年に向け「Waseda Vision 150※1」を掲げています。その中身はホームページに詳細が説明されていますが、大学経営の執行について13の核心戦略から構成されている大変意欲的なビジョンです。

※1https://www.waseda.jp/inst/vision150/about/vision

早稲田大学はこのビジョン策定の経緯を詳細に説明していますが、世界で活躍する人材を輩出する大学にとっての現状認識を冷静に分析しているものと見えます。特に「外的な要因が大学に問い掛けること※2」として3点を掲げています。完全に勝ち組に見える早稲田大学でも、だからこそと評した方が良いのかもしれませんが、進化を早めなければ衰退するのみとの意思を明確に感じる現状認識です。特に②では既に大学の差別化は世界的規模で進んでいると明言しています。

①少子化の加速と生産年齢人口の減少

②大学間競争(国際競争の激化)

③技術的変革

※2https://www.waseda.jp/inst/vision150/about/why

特に注目すべきは、今回のビジョンの核心戦略で従来の卒業生組織の発展に加え、「新たな早稲田ファミリーの形成※3」を掲げている点なのです。深く考えれば当たり前のことかもしれませんが、大学単独で勝負できる時代は終焉を迎えており、「これまでの結集軸とは異なる新機軸のコミュニティの形成を支援することにより、大学のステークホルダーの有する多様なエネルギーを結集し、新たな早稲田ファミリーの形成を図る」と連携による飛躍を打ち出しているのです。

※3https://www.waseda.jp/inst/vision150/core/strategy13

卒業生組織は大学の最大支持者なのか?

在学時代に大学が会費代理収納した資金で奨学金を支援する、卒業生への記念品を贈呈する、イベントに協賛する、周年事業に寄付をする・・・・しかし卒業生の大半はその資金がどのように使われているかを知らないのが現状です。

また、全体から見れば数%しか参加していない傘下組織(支部等)の支援に、そのお金が使われており、そのことも大半の卒業生は知らないし、気にもしていないのではないでしょうか。

卒業生組織の目的の多くは、「卒業生の親睦」と「母校の発展への貢献」が謳われているのですが、その目的の意味について、或いは卒業生組織の存在意義について胸を張って説明できるかが、既に卒業生組織について問われる時代になっているのだと思います。

「何よりも顔を突き合わせての親睦は大事だよ」「若手が参画しないのは忙しいから。イベントのもっとお金をかけないと」と未だに思っており、卒業生組織の運営を司る理事会で「規則が大事だから、まず規則を提案すべき」「まずは膝を割ってワイワイガヤガヤ話ことが大事」「全員の合意が大切」と一般論の形式的な議論や感想が主体となり、なかなか変わろうとしない卒業生組織では、とても「母校の発展」に貢献するレベルとは言えないのではないでしょうか。

ある若手卒業生が「気の合った仲間と酒を酌み交わし昔話をするだけなら、卒業生組織としての意味がないと思います」と発言し、物議を醸しだしたのが思い出されます。今やビジネスの世界でも常識化していますが、ファン(支持者)は自社ブランドに貢献してくれる人を指すのですから、若手の方の意見の方が筋が通っているのではないでしょうか?

大学の支持者としての卒業生組織とは

この定義を話すと結構奥が深い世界なのですが、一言でいうと「大学にとって欠かさざるを得ない組織」であるかどうかと言うことになります。無下には出来ないし、頼みごとをすると文句ばかりいうから「いつも母校のことを思って頂き感謝しています」というレベルの社交辞令を指しているのではありません。

大学経営上欠かさざるを得ない存在なのかどうかなのです。この話は別途別の機会にお話しするか、ご要望があれば説明に伺いますのでお気軽にお声がけください。

大学の本分は「教育・研究・社会貢献」です。教育であれば、社会人向けリカレント教育の受講生を7割が卒業生或いは卒業生が誘導してくれた企業従業員である、例えば起業家として成功している豊富な実践知を持つ卒業生がアントレプレナーシップの講座に協力すると言ったようなことです。

そこで大事なのは、卒業生組織が上記について自らのミッションだと思っているかどうかなのです。ちなみに是非下記を参考に自らのミッション(役割)を見つめ直してはどうでしょうか!(^^)!