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石丸旋風とWeb活用の誤解

学校のステークホルダー(卒業生、保護者、関係企業、地域等)に対する活性化業務を請け負い、その組織目的達成を支えるのが弊社の仕事です。そんな中、ある卒業生組織の理事とご縁があってお話を伺うと、地方で漢方薬局を営んでいらっしゃるとのこと。

「最近新聞の折り込みチラシでも集客が出来ず、ホームページをリニューアルしたんです。しかし中々簡単にはお客様が増えなくて・・・・。更に電話営業で『集客なら今はMEO(MEOとは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の頭文字を取った言葉で、地図検索での上位を目指すこと)が常識です。弊社に任せていただければ確実に集客が増えます』と言われ、毎月5万円支払っているんですが、これもさっぱり。やはり過疎化が進む地方では漢方薬局は無理なんですかねぇ」

理事の方も高齢で藁にも縋る想いで投資をされたのでしょうが、この話を聞いて驚きました。MEOは簡単に言えばGoogle Map等地図検索で自社のビジネス情報の順位を上げ来店に繋げるもので、観光SPOTや飲食店などで効果は上げやすいですが、漢方薬局に向いているとは思えませんでした。

この後、簡単に何をするかについてアドバイスいたしましたが、マーケティングへの理解が足りず、伝達手段であるウェブサイトやSNSが誰にどのような目的で運営しながら効果を上げていくのかが疎かになり、多大な無駄を生じさせているのです。今やスーマートフォンの圧倒的な普及により、SNS巡りが時間の無駄と感じる人が確実に増加してきているのですから、尚更Web上の伝達手段にしか過ぎないウェブサイト、アプリ、SNS等を過信してはいけないのです。

引用:さぶろぐ https://best-review.co.jp/sublogg/report-246/

若年層に訴求するなら「アプリ」だろうの見極め

飲食ではマクドナルド、小売りの良品計画やセブンイレブン、アパレルのユニクロなどアプリをダウンロードして、購入顧客にメリットを提供する「GIVE&TAKE」型で成功している企業は数多く存在します。大学で導入したところも、休講情報や各種申請など学生に確実に伝えたい情報と学生が必要とする情報がマッチするので一定の成果を収めているようです。

つまり、アプリの場合はスマホ全盛時代にダウンロードさえすれば、アクセスが簡単で通信速度が速いメリットがあり、よく使う目的があるのであれば導入効果が高いのです。ただし、下記の「アプリ利用者数TOP30」を見てもわかる通り、一定の範囲内でのコミュニケーションツール、通販、便利と引き換えに広告収入で稼ぐものが中心であり、GIVE&TAKEで成立する基本原則があるのです。

よって、独自アプリの導入は大変高価であると共に、ランニングコストとなるマーケティング運営に対して、それ以上の収益が上がることを前提にした仕組みを作らなければならない為、大手の営利企業での導入が中心となるのです。多くの学生を抱える大学では、職員の対応コストが削減でき、学生の質が上がるのであれば導入効果はあるのではないでしょうか。

しかし、これが卒業生向けとなると話は別です。某大学では率先して卒業生組織でアプリを導入しましたが、配信される内容が「母校愛醸成」のコンセプトからややそれており、GIVE&TAKE型になっています。ちょっと残念なコンテンツ配信であり、導入したコスト対効果があるのか疑問が残ります。

卒業生が、母校の熱烈なファン化して、母校のために、在校生のために、そして校友のために貢献するボランティア集団となり、そこに様々な形で参画することによって進化・成長するのが卒業生組織です。その本質を活かしていくためには、まず情報提供や卒業生組織活動が、より多くの校友の共感を呼ぶのかを追求することが大切なようです。その上で、伝達手段としてのSNS、アプリを選択していくことになるのです。

余談ですが、直近の傾向でもアプリの90日以内のアンインストール率は50%近く、教育アプリでも40%を超えるデータもあります。

https://www.appsflyer.com/ja/resources/guides/app-uninstall-benchmarks/

母校愛の源泉は後輩支援

卒業生の興味を引くために、各大学や卒業生組織が努力を重ねています。寄付を集める際に何度も豪華な冊子を送付する、寄付に応じた卒業生企業の商品提供を行うなど涙ぐましい努力をしています。また、大々的なゴルフイベントや写真コンテストなど趣味の範囲で一部の人しか参画しないイベント、多額の費用を投じて福利厚生サービス会社と提携してのサービス提供などに腐心されています。ただ、その効果はどうなのでしょうか。

昭和女子大で実施している学生支援の一つに、将来キャリアなどを考えさせ、その支援を社会人がメンターとしてバックアップするメンター制度について、これまでにもご紹介してきましたので、詳細は割愛しますが、既に浸透し多くの学生がその恩恵を受けています。その際にメンターになる社会人に対して、現総長の坂東眞理子氏は「メンターになられる方も初心に帰ることが出来るだけでなく、コーチングスキルも身につく」と協力者の奉仕によるメリットを紹介しています。

卒業生の母校愛はGIVE&TAKEで醸成するのではなく、後輩を支援する、自らが進化・磨かれる、そしてボランティアで得られる満足感がベースになるものと思います。もし、各学校の特色を生かした卒業生活性化の事業や情報発信にお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。