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寄付金が集まらない大学とは

データが証明する「言い訳」の終焉

「日本には寄付文化が根付いていないから」

「卒業生の母校愛が希薄になったから」

多くの大学関係者が口にするこの言葉は、実は大きな誤解です。

当社が実施した「母校への意識調査(Web調査)」では、卒業生の82.4%が「母校を誇りに思いたい」「母校の活躍は嬉しい」と回答しています。つまり、種火は消えていないのです。

それにもかかわらず、実際の寄付率が数%に留まっているのは、文化のせいではなく、大学側の「情報発信の不備」と「マーケティングの欠如」に他なりません。

失敗する大学、成功する大学の境界線
寄付が集まらない大学には、3つの共通する「言い訳」があります。

ターゲットの不在
全卒業生に同じ定型文を送り、結局卒業生の心に刺さっていない。

対価の履き違え
「名産品」や「景品」で釣るGive & Takeの手法。これは「買い物」に近く大学支持者を満たすものにはなっておらず、リピート率が低い結果となります。

情報の不透明性
「寄付金が具体的にどう使われ、誰を救ったか」という報告が、数字の羅列だけで終わっている。

成功事例:地方私立A大学の逆転劇

万年赤字だった寄付募集を見直し、「使途不明の一般寄付」をやめ、「カレッジスポーツの老朽化した部室改修」に絞ったストーリーを展開。

施 策
OB・OGの現役時代の熱量を呼び起こす、当時の写真を用いたターゲティングコミュニケーションを実施。

結 果
開始3ヶ月で目標額の200%を達成。特筆すべきは、寄付者の6割が「20年以上大学と接点がなかった層」だったことです。

利他の精神を呼び覚ます「仕組み」の構築

これからの大学寄付に求められるのは、一時的なキャンペーンではなく、「応援したい」という利他の精神を永続させる仕組みではないでしょうか。簡単に言えば大学の支持者=ファンを拡大する取り組みだと理解して頂きたいのです。

下記はその一例です。

1「物語」の可視化

「研究費が足りません」ではなく、「この研究が完成すれば、〇〇病で苦しむ子供たちが救われる」という未来を見せること。

2.後輩への投資という意識

「母校に貢献する」という行為が、自身のアイデンティティを肯定する誇り高い行為であると、寄付者に実感してもらうコミュニケーション設計。

3.マーケティングの自動化

属性に応じた適切なタイミングでの情報配信。テクノロジーを活用し、卒業生一人ひとりと「心の対話」を行う仕組み。

2026年 貴学の「支援者」を呼び覚ますために

寄付金獲得は、決して甘い世界ではありません。しかし、正しい手法と情熱があれば、必ず結果はついてきます。「今年はダメだった」で終わらせるのか、それとも「来年こそは8割の母校愛を形にする」のか。

私共は、単なるテクニックを提供するのではなく、母校の熱烈な支持者を発掘していくお手伝いとして、貴学独自のストーリー構築から、実行支援まで伴走します。

年末の今こそ、現状を打破する勇気を。真剣に取り組む大学様には、私たちも真剣に応えます。

【年末緊急診断】貴学の寄付金獲得はなぜ「甘くない」のか?
〜「言い訳」を成果に変えるためのチェックリスト〜

以下の項目で、貴学に当てはまるものにチェックを入れてください。

ターゲットとマーケティングの欠如
[ ] 卒業生全員に、毎年同じ内容の趣意書を一斉送付している。

[ ] 30代の若手OB・OGと、70代の引退層に送るメッセージが同じである。

[ ] 過去に寄付をくれた方への「継続的な情報提供」より「新規開拓」ばかり考えている。

[ ] 卒業生の住所把握率が80%を切っており、所在不明者を放置している。

ストーリーと情報の欠如
[ ] 寄付の使い道が「教育研究の振興」など、抽象的でイメージしにくい言葉になっている。

[ ] 「お金が足りないから助けてほしい」という「欠乏」の訴求ばかりしている。

[ ] 寄付によって「どんな学生が救われ、どんな研究が進んだか」の成果報告が数字(決算)のみである。

[ ] 学長や理事長の「顔」や「肉声」が見えるメッセージが発信できていない。(固い挨拶)

仕組みとマインドの欠如
[ ] 寄付が集まらない理由を「日本人の寄付文化のなさ」や「景気のせい」にしている。

[ ] 返礼品(モノ)で釣る「GIVE & TAKE」が、寄付募集のメイン施策になっている。

[ ] 「母校愛調査」などのデータに基づいた戦略立案を行っていない。

[ ] 寄付を「お願いするもの(負い目)」と考えており、寄付者に「誇り」を与える活動だと思えていない。

利他の精神と永続性
[ ] 後輩や研究者を「応援したい」と思わせる具体的なエピソードが公式サイトに載っていない。

[ ] 寄付の手続きが煩雑で、スマホから30秒以内に決済できる仕組みになっていない。

[ ] カレッジスポーツや特定の研究プロジェクトなど、共感を得やすい「小口の使途指定寄付」を用意していない。

診 断 結 果

チェックが0〜3
良好です。さらにストーリーを磨き、ファンを増やしましょう。

チェックが4〜7
【黄色信号】 仕組みが形骸化しています。マーケティングの導入が急務です。

チェックが8個以上
【赤色信号】 致命的な「言い訳体質」に陥っています。来年に向けて、根本的な意識改革と戦略の再構築が必要です。

最後に

2025年も1年間ご愛読いただき誠に有難うございました。もし、このメルマガを読んで感想、要望がございましたらご連絡頂けると泣いて喜びます(^^)/

来年も引き続き宜しくお願い致します。

学校コミュニケーションネットワークス
代表取締役 河田 勝之