母校との一体感に変革する卒業生組織

卒業生組織における本来の姿
大半の大学卒業生組織がその存在意義たる目的に「卒業生の親睦と母校支援」を掲げています。しかしながら、卒業生組織の傘下組織、いわゆる支部では、本部からの支援金に頼り、リアルな懇親会中心のイベントが活動主体を占め、コストがかかり頻度が少ない郵便によるコミュニケーション、或いは更新頻度が少ないHP、Facebook等SNS、メンバーが増えないLINEネットワーク、そして他人事の様に「高齢化が著しいので何とかして欲しい」との声が聞こえるのが多くのケースではないでしょうか。
一方、課題は認識しており、卒業生組織本部もアドバルーンを掲げるのですが、過去にもお話ししたように若年層、女性層が少ないことに対して、リアル中心で参画しやすい環境も少なく、安易に「若年層はアプリ」との甘言にすがり、高価なアプリの導入、そして若年層を集め一部の人だけを集めやすくする趣味のイベント開催などに着手します。
目を引く点は否定しませんが、若年層が本当に校友会に求めているのはちょっと違い、「若年層を軽く見ていませんか?」との声があるのも事実です。
本来の姿とは、母校の建学の精神や教育の目指す姿に共感し、ボランティアによって後輩、在学生、そしてお世話になった母校にできる範囲の協力をする、その活動を通じて、母校卒業生であることを誇りに感じるとともに、同窓と切磋琢磨して自らを高めていく場を提供することではないでしょうか?
東京電機大学校友会の決断
「卒業生が時代に併せて、自らのスキルや知識を向上させる情報を求めている」
「リスキリングやリカレント教育は大学の仕事だろ。卒業生組織の手を出す範囲じゃない。大学に言えばいい話だろ」
「これは大学のやること」「これは卒業生組織の特権」云々・・・
母校と一体となって母校の発展を支援すると言った会目的からすると「どうなのかな?」と感じる方もいるのではないでしょうか?
「卒業生組織も母校に対していろいろとしてくれているから」と大学も気を使い、「大学もいろいろと大変だけどもっと頑張ってもらわないと」と卒業生組織も今までの活動を変えない。これはよくある話だと思います。
2025年2月東京電機大学校友会は、母校の発展に対して大きな英断を下したのです。なんと校友会有志で日本の命運を握ると言われている半導体製造に対して、まず東日本で東京電機大学が名乗りをあげようではないか!と卒業生教授と実践知が極めて高い卒業生中心に、校友会主体でリカレント教育を実現させたのです。
彼等は、大学がどうだとか卒業生組織がどうだとかではなく、できる人間、特に経済界の現場で実践知がある人間が知恵を出して、不足する部分は自分達の人脈を使い、「技術は人なり」のマインドを持つ人間が出来ることをやろうではないかと決断したのです。
さらに驚くべきは、今回の試みで得られる受講生の満足度やニーズ、講座の設定方法、集客の方法、収支の計算、アフターフォローに至るまでの、全ての「実践知」を母校に提供し、またその続きを母校中心に発展させようとしている点です。
東京電機大学でも社会人から評判の高いリカレント教育は実施されています。ものづくりの現場で適切な判断を下すことができる能力を実践知と定義づけ、社会人から定評がある「実践知重点課程」を展開しています。
また、時代環境を反映して様々な企業で着目している分野特化型高度サイバーセキュリティ専門家の養成を目的とした「国際化サイバーセキュリティ学特別コース(CySec)」など社会人教育にも注力しています。
でも卒業生はそれをこれからの大学の発展を考え、もっと進化する橋頭保になれるのではないかと考えたのです。
引用:電機学校第一回卒業式写真
半導体リカレント教育の選択
2024年度版「世界イノベーション(技術革新)指数」で日本が13位。2021年世界デジタル競争力ランキングでは日本の技術は30位。国も科学技術立国の実現を掲げる中、NHKより早くラジオ実験放送を開始し、多くの技術者を輩出してきた東京電機大学の誇りを打ち出すために「半導体製造」を選択したそうです。
そこには、専門知を持つ卒業生教授、実社会で苦労を重ねた卒業生が中心になり校友会理事長の後押しで一気に進めたそうです。
内容は私には評価できませんので、是非百聞は一見にしかずで、オンラインでの受講も可能とのこと。受講してみては如何でしょうか?どなたでも受講可能だそうです。
締め切りは3月14日。是非校友会が一歩前に踏み出す瞬間をお見逃しなく。
【講座概要】
https://www.tduaa.or.jp/support/alumni_special-lecture202503/
【申し込み】
https://forms.office.com/r/fEKSqSchbS
卒業生自らが作成したチラシ
卒業生組織を変革されたいと思われる方は、遠慮なくご相談ください(^^)/