卒業生は最大の支持者となるか?
卒業生は財産と皆さん言われます。しかし・・・
「同窓会は口こそ出すけど・・・」「早慶や一ツ橋・東大は特別、偏差値が違うし」「会って話せば協力的な人もたくさんいるんだが・・・」卒業生が大学の最大支持者となっていない学校でよく聞く声です。
ビジネスの世界で「ファンマーケティング」という考え方があります。最初にある商品・サービスを購入する機会があったとして、その顧客の何割かが継続顧客になり、その中からミッションに共感し指名買いしてくれるロイヤルカスタマーになる。更にその中から熱狂的なファンが伝道師として周辺に推奨してくれる事象を指します。
ファンを大事にする文化で着実な成長を続ける会社に、肌クリームで評判の「ユースキン」があります。「格言カレンダー」という毎年取引先に配布する日めくりカレンダーの格言選考会をお客様と一緒に行うことでも有名な会社ですが、成長の原動力が「ユースキンに対する伝道師たるファン」だと言われています。この熱狂的なファンが購買を支えるだけでなく、新たな顧客を増やしてくれていると言われています。
ユースキンは全社を挙げてファンづくりを行っていますが、大学は既に熱狂的なファンが存在しているのです。全ての卒業生がファンになってくれれば良いのですが、ビジネスの世界では20:80パレットの法則にある通り、20%の顧客が80%の売り上げを導いてくれるケースが多く、この20%をどう獲得するかに苦労をしています。
既にお気づきかと思いますが、「母校を誇りに思いたいですか?」との問いに大半の人が「それはそうだ」と答える大学では、熱狂的なファンを作る仕組み構築が出来るベースがあると言えるのではないでしょうか?
口コミのマーケティング効果
巷では「インフルエンサー」と言う言葉が当たり前に聞かれるようになりました。古くからマーケティングの世界では「熱狂的なファンづくり」が重要視されてきましたが、簡単なことではないのも事実です。新規顧客を獲得するには、従来のTVCMや新聞・ネット広告だけでは競争が激化している昨今、大学の支持者が口コミで伝播してくれる威力は大変大きくなっていると推定されます。
「ウインザー効果」という言葉は皆さんもご存知ではないでしょうか。当事者からの情報より、第三者からの情報の方が信頼性・信憑性が増すという心理効果を指します。ラーメン屋の店長に「うちのラーメン美味いよ」と言われるより、「あのラーメン屋美味いらしいよ」という噂を聞いた方が信頼できるのはこの心理が働いているからなのです。
「この間、〇〇大学の卒業生から聞いたんだけど、最近〇〇大学は〇〇で成果を挙げていて就職にも強いらしい。知らなかったわ。」これがまさに口コミマーケティングの威力と言えます。
卒業生の大学支援
大学卒業生組織のHPを見ると一昔前とは様変わりしていることに気づきます。一昔前は、同窓会イベントの写真や総会、会費の支払い方法などが目立ちましたが、今は明確に大学支援の姿勢が前面に出ている卒業生組織が目立つようになってきました。
まだ言葉先行の大学もありますが、具体的に「産学連携の〇〇会」と謳い、卒業生が所属する企業や経営する企業に、大学との産学連携を積極的に働きかける仕組みを作っている卒業生組織、また駅伝に参加する為に寄付するだけでなく、全国の卒業生が有能な選手のスカウトに協力する卒業生組織など具体的な成果創出を実現している卒業生組織も出始めています。
寄付金は母校支援の間違いない定量的なバロメーターですが、卒業生組織を経由しての寄付ですと会費を支払った保護者から「結局大学への寄付金ですか?」と言われるケースもありますし、控除対象にもならないことから、卒業生組織が宣伝役となり、直接大学に寄付するケースが良いかもしれません。卒業生から圧倒的な支持をされる大学が素晴らしいことは論を俟たないと思いますが、その仕組みを作るのは決して簡単ではないと思います。その点は、またの機会でお話ししたいと思います。
コロナの影響、DXの大幅な進展、そして少子高齢化の中で、実はまさに「卒業生を圧倒的なファンにする仕組み」を作る好機だと思います。東日本大震災で「絆」が脚光を浴びましたが、今コロナに加えて、国策としてのIT化がその「絆」を新たな形で実現しつつあります。ご興味がある方は、是非ご相談ください。