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押してくれますか?「感動のスイッチ」

心が動く

支援をする理由の大半は「自己満足」と言われていますが、自己満足に導くのが大変です。損得計算ではないからこそ難しい。大学を支持するには卒業生であれ、保護者であれ、地域の方々であれ、まず心が動かなければ支援をしてくれません。その為には、前段として大学に対する信用、信頼が基盤となり、そして「共感」した時に支持者としてのスイッチモードが入り始めます。その段階で支援スイッチを押す方もいらっしゃいますが、圧倒的な支持を得るには更に「感動の味付け」が必要ではないでしょうか?

寄付金を損得勘定で寄付する取引業者の存在も否定しませんが、やはり大学の力を表すのであれば「共感したステークホルダーの数」、つまり支持者の数が大きな指標であることは間違いない事実ではないでしょうか。 その為には理論だけではなく、心を動かすストーリーが必要だと痛感しています。今回はその一部をお話しさせてください。

理屈より感情

感染爆発の中、緊急事態宣言で不要不急の外出を控えてくださいとの総理大臣の説明に対し「心がこもっていない」だとか「真剣みが足りない」など賛否両論あると思います(人それぞれの感じ方の問題ではと思ったりもしますし、私個人は自分たちの問題と考えるタイプです)。

とはいえ再発令後の外出率は、一回目の緊急事態宣言よりも大幅に増えているようで、寒さによる換気問題、空気が乾き感染しやすい等々あり、感染の勢いは簡単には収まりません。ひょっとすると宣言期間が延長されるのではという話もチラホラ。

そこで心に訴えるという視点での前提にはなりますが、もし東京オリンピック候補の選手が皆さんにこんなコメントを発信したらどうでしょうか?

「『日本がコロナに負けずにオリンピックを開催した。』我々はそれを証明したい。そのために限られた条件であっても我々は全力で頑張ります。皆さんにも是非協力して欲しいのです。」

その後に、不要不急の外出をしない、7割のテレワーク、三密を避ける・・・・といったお決まりのキャッチが流れ、最後に白血病と戦い復帰した池江璃花子選手の懸命に泳ぐシーンが流れる・・・

いかがでしょう。私だったら、「協力しなくちゃ」と心が動くような気がします。頭で考えている理屈よりも感情が動くからだと思います。

共感を呼ぶ基盤

会報誌やHPの見せ方・導線のプロセスとして良く見受けられるパターンが、学長や理事長の挨拶に始まり、次に大学や学生の現状、協力する人たちの声、そして最後にお願いというように並べれば、高等教育機関として礼を失しない理に叶った内容に仕上がります。

そのプロセスを僅かなコミュニケーションしか行えていない段階で、最後の「お願い」まで一気に実施するとなる成果は今ひとつかも知れません。今までと環境が変わって「困窮学生への寄付」はそのものに訴求力がありますから、一時的な寄付金の成果が出やすいと思います。しかし、今までの傾向だと、コロナが一段落したら、寄付文化は醸成されず伸び悩むことも予想されます。もし長続きしない、伸び悩むのなら、理由は信頼基盤が出来ない段階でのお願いだからです。

以前、某名門大学の方にお伺いしたお話で、卒業生に送る学報に、まだ信頼関係が醸成されていない段階で寄付の依頼を同封したところ、「結局寄付集めか」「なんだかなぁ」と批判が殺到したそうです。批判が来るということは母校愛がある証でもあるとは思いますが。(笑)
まずは、普段より信用・信頼を醸成するコミュニケーションを心掛け、その土壌の上でこそ「共感」の花が開きやすくなってくるのです。

共感を呼ぶストーリー

共感を呼ぶには様々な手法があります。まず、感情に訴求するのですから、分かりやすく「強み(負けない信念等)」「弱み(未熟等)」がある主人公を配置します。大学ですと学生なり先生になると思います。極端な例でいうと、ウルトラマンはとても強い(強み)のですが、わずか3分間しか戦えない(弱み)。。。といったところでしょうか。

次に「対立軸」を設けます。今ですと分かり易いコロナが対立軸となり、主人公の目的を拒むものを設定します。

そして最も重要なのは「テーマを感じさせる」こと。例えば昨今の大ヒット「鬼滅の刃」。「兄弟愛」と「一番弱い人が一番可能性を持っている」というテーマが貫き通されていると言われています。3.11の震災の時もそうでしたが、今も巣ごもり生活の中で「絆」に対して皆さんとても敏感になっています。

そうして「共感」のベースが醸成されたからといって、実は多くの支持者が「よし寄付しよう」とスイッチを押してくれるわけではなく、「共感」を「感動」に昇華させてこそスイッチが入るのです。

また機会があれば、感動へのシナリオについてもお話しさせて頂きたいと思います。ちなみに、「鬼滅の刃」というタイトルは知っているけど、まだ見たことがないという方は、柔らか頭への一歩としてご覧になるのも良いかと思います。

支持者拡大へのお悩みをお持ちの方はご相談ください。お待ちしております。