えっ。まだイベントと会報誌ですか?
オンラインホームカミングデー
卒業生の母校愛を育む一環として開催されるホームカミングデー。昨年は中止もしくはオンライン化が急速に進み、今年はオンラインが圧倒的な勢いです。そんな最中、元部下に「大学のホームカミングデーには有名人の卒業生が出て楽しそうじゃないか。参加するんだろ?」と聞くと「いやあ、あの卒業生は面白いし応援はしてますが、Youtubeで散々楽しんでますから見ないと思います」・・・あれ?
そもそも当たり前のことなんですが、目的達成のシナリオがあり、その途中で参加者の高揚感、知名度アップ、見込み客の集客といった目的で実施するのがイベントです。確かに昭和世代の私の頭では、ついイベント=目立つ=有名人となりがちです。ミュージシャンのプロモーションやイベント収入も大事ですが、どちらかというと地道なファンづくりで全国を回りながらも、収益の柱は配信収入とする方が今は源流なのでは。
卒業生の有名人を使う企画もそうですが、イベントに来る顔ぶれが変わらない、実際の卒業生の参加割合は?イベントの効果測定は?と出せばきりがないのですが、意外と主催者の自己満足部分も否定できないかもしれません。
1950年代の3種の神器と言えば「白黒TV、洗濯機、冷蔵庫」ですが、令和の家電3種の神器は「4K/8Kテレビ、冷蔵庫、ロボット掃除機」なのだそうです。イベントそのものもそうですし、イベント依存から脱却する時代かもしれません。
運営の仕組みの基盤はコミュニケーション
組織において活性化には複数の手法が存在します。会社組織ですと業務としての伝達網が具備されていますが、卒業生組織の大半が会費収入による運営で賄われると同時にボランティアかつ親睦団体の要素が強いので、特にコミュニケーションが重要となってきます。
クラシックスタイルの卒業生組織は、コロナ禍で活動の沈静化著しく見受けられますが、これはFace to Faceに拘り、従来から会報誌、リアルな会合、イベントに固執してきたからかもしれません。特に、これらの団体では「最近の若い連中は愛校心が乏しい」「若い連中は忙しい」「顔を合わせずして連帯感は生まれない」「ワイワイガヤガヤするのが大事」など大変失礼ながら高齢化症候群の言葉が聞こえてきます。
定年後の方々と時間の使い方が異なる(土日昼間の会合は勘弁して欲しい)、情報入手がスマホ中心の若年層は、母校愛がないのではなく今の卒業生組織に興味が湧かないのです。考え方やコミュニケーション手法には大きな課題が感じられます。
某組織で会報誌について、アンケート用返信ハガキを同封したのですが、ほんの少ししか戻ってこなかった為、大変な労力をかけて電話アンケートを実施したことがあります。その結果、到着している会報誌の中身を覚えていてくれた方は約1割。会報誌の欠点は、何よりも反応を含めて検証ができないことにありますし、郵送費含めて大変なコストがかかること、迅速かつタイムリーに情報が伝達できないことを含め、見直しの時期が来ているかもしれません。
是非コミュニケーションの目的を理解しよう
会報誌にしろ、イベントにしろ、目的を伺っても意外と明確な答えが出てきません。コミュニケーションの目的は以下の3つだと私は思っています。
・卒業生に目的・活動を理解して頂き、賛同してもらう。
周辺にいる方に「母校の卒業生組織が何をしているかご存知ですか?」と是非伺ってみてください。
・卒業生から「反応」をもらう。
当たり前ですが対象となる卒業生がどう思っているか、どのようなことに共感してくれるのかを知らなければ、運営の仕組みとは言えないのではないでしょうか?
・卒業生が「行動」してもらう。
「今、母校は転換期を迎えています。皆さんの力を貸してくれませんか?」その声にどの程度行動してくれるのかが、実はコミュニケーション評価を行う上で最もわかりやすい指標なのです。
組織運営の範囲は多岐にわたります。今回は最も基幹となるコミュニケーションについて触れさせて頂きました。もし、運営関係でお悩み等があれば、遠慮なくご相談ください。