後発でも優位は構築できます!
ゆでガエルは組織を崩壊に導く
今更ながら「わかっている」ことだと思いますが、コロナ禍とAIで一気に環境は激変しました。ゆでガエルは1950年代から活躍した米国の文化人類学者・精神科医のグレゴリー・ベイトソンが始まりと言われ、日本では1998年組織学の教科書と言われる「組織論」で広まりました。
古くは内部統制の引き金となった不正会計のエンロン社、2000年代になるとポラロイド社、コダック社の倒産、コニカ社のカメラ事業の撤退に代表される写真フィルム業界、そして最近はマイクロソフトが出資の賭けに出てサービス開始から2か月で1億人のユーザーを集めた対話型AI「チャットGTP」は、大学の論文や試験問題すら簡単に作ってしまう可能性や士業を無効化する威力を秘めています。
そして大学は少子化問題、卒業生組織の若年層・中堅層離れについては、今に始まったことではなく、確実に予見できたことでした。
その予見に対して、先行する大学は新たな財源としてリスキリング教育、産学連携に着目し、また母校の支援者たる自負を持つ卒業生組織は旧態依然とした親睦団体からの脱却に着手し確実な実績を上げています。
ただし、成功している組織は、大学であれば中途半端な体制ではなく外部人材や外部パートナーを活用した柔軟な組織体制、卒業生組織であれば徹底したITコミュニケーション構築など従来から脱却できている組織にはそれなりの工夫が見られます。
後発でも圧倒的な速さで成長は可能か?
昨年11月末アンカー・ジャパンの社長が書いた「一位思考」は大変売れました。すでに読んだ方も多いと思います。同社はイノベーションのメッカと言われる中国の深圳(しんせん)でGoogleエンジニアだったスティーブン・ヤンが2011年に立ち上げ、日本では2013年設立し、僅か9年で後発のモバイルバッテリーなどで売上げ300億円、国内オンラインシェア1位を獲得します。
その著書の中に記載された習慣は特に目新しいものではなく、実は本来日本経済成長を支えた源泉と同じものなのです。しかし、「ゆでガエル」化した組織ではそのことを忘れ、「自分のところにそのような実力はない」「早慶は別格だし・・・」「課題が多々あるし」と出来ない理由を並べます。
大変崇高な大学が掲げる建学の精神・理念、卒業生組織の短いながら熟成された立派な会の目的を考えれば、「うちがこの世界(市場)を変えてやろうじゃないか」との一歩さえあれば実は後発であろうと、伝統があろうとなかろうと、その世界で輝けるのではないでしょうか。何よりも今の遅れがあったとしても、後発の努力で成果を収めることは「気持ちがいい」だけでなく、まさに「次の世代に襷を渡す誇りに満ちた瞬間」を味わうことが出来るのですから。
成長の習慣として「因数分解」と「価値創造の継続」
「これからの大きな市場となることが予想されるリスキリング・リカレント市場への進出が出遅れている」
「会員の高齢化が進み、形式上の大学支援や親睦だけの団体で新規に参画する会員がなかなか増えない。」
上記課題を解決する際には、前述に紹介した本では4つの組織習慣を語っていますが、今回はそのうちの2点についてお話しさせてください。
1.因数分解
今後確実に大学ブランドを左右する社会人教育市場で成果を収めることを想定した場合、以下の3つに分類されるのではないでしょうか。
「ターゲットアプローチ」×「提供価値(教育の質)」×「拡散・伝播の仕掛け」
それぞれ深くはお話しできませんが、ターゲットアプローチについては収益性とブランド寄与効果を想定して、複数企業の従業員を引き受けることが効果的であると推定され、独自のアプローチが必要となります。このターゲットは産学連携にも連動しやすい特徴もあります。
提供価値一つとっても、ターゲットによって単に講義中心ではなく、講義+実践訓練+職場での活用までを想定した提供価値から、教員への給与、場所や時間まで更に因数分解されます。拡散・伝播の仕掛けは、受講者の活用状況調査や満足度調査は当然のこととして、受講生のネットワーク化、マスコミ媒体への情宣などに分解されていきます。
卒業生組織の高齢化でも若年層・中堅層開拓は、この因数分解なくして単なる声掛けやキャンペーン、イベントでは解決しないことからもご理解いただけると思います。
2.常に価値を出し続ける習慣
卒業生組織を活性化するのに、会報誌の発行頻度を増やす、ホームカミングデーやゴルフ会など様々なイベントだけで成功した組織を私は知りません。イベントは、あくまで目的に向かって全体シナリオがあり、その中で中心メンバーになる方々の活性化と卒業生全体への情宣効果を出すための手段です。
価値は参画する、協力する、共感する為の魅力であり、母校愛を基盤として、年代、属性、ニーズ別等でどのように支持者へと変革させるKeyそのものです。
あの500年企業、和菓子の虎屋でも羊羹の味を時代に合わせて変化させ、常に進化していますが、常に高い目標に向かって進化していくことでお客様の支持を得ていくのです。ともすると一定の価値を出した時点で進化を止めてしまう組織が見受けられますが、必ずと言っていいほど負のスパイラルに陥っています。
進化する卒業生組織は、様々な卒業生が参画しやすい事業を展開しつつも、「卒業生の意見」×「卒業生組織の目的を達成する戦略」×「賛同者の拡大努力」によって進化を続け伝統に昇華させているようです。
今後は、今が後発であっても大学と卒業生組織やステークホルダーは一体となって成果を創出することで、今までにない世界は必ず実現できると思っております。現状に課題をお持ちの場合は、まずお気軽にご相談ください。