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旧弊を打破する組織が成長する

昨年大学の在学生は増加したが・・・・

文科省は年が変わる寸前の12月20日に、令和5年度学校基本統計確定値を発表※しました。令和5年5月1日現在、大学は僅かながらも在校数を伸ばしていますが、実態は短大、専門学校減少と女子進学率の向上によるものであり、今後減少が続くことが明確化しています。

https://www.mext.go.jp/content/20230823-mxt_chousa01-000031377_001.pdf

一方、昨年の日本郵便値上げ理由は驚愕のニュースでした。なんと1か月あたりの投函数が30通以下のポストが1/4を占める過疎化の波。そして、一方、人口減少と経済の進化を期待されるAI・ロボット等の普及率は目覚ましく進み始めています。僅かこの1年で下表のようにChatGPTの認知率は野村総研の調査で、認知率69%利用は15%まで伸びているのです。確実に大きな転換期と見ても良いのではないでしょうか。

総務省が公表している「令和元年版情報通信白書」によると日本のIoT・AIの導入状況は中国・米国・欧州主要国を大きく下回っており、今後迎えるSociety5.0に導入向上が加速される可能性が高いことが伺えます。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd112220.html

旧弊を打破して創造的な組織になりうるか?

昨年米国ハリウッドで俳優や脚本家がAIに代替されるとしてストライキを行ったのは記憶に新しいと思います。ストは終結しましたが、今後も使用に関する火種は残っているようですが、2015年にオックスフォード大学と野村総研が「日本における労働人口の49%がAIやロボット等で代替可能」と衝撃的な発表がなされて8年がたち、変化は着実に生じてきているのです。

その一つが身近なところでは、理系人材へ注目が集まる、GX/DXが日常化される、そして学生就職に対する企業の採用基準に変化が生じていることです。根性がある体育会系の学生が重宝された時代(私が就職のときは明らかにこの傾向が顕著でした)は段々影を潜め、就職面接訓練で自らの長所短所、志望動機を磨いてきた学生も対応に苦慮する「自ら課題を発見して、新しい解決方法を創り出せるか?」を試される時なのです。いわゆるデザイン思考であり、「何をすべきか?」を問うのではなく、「何が出来るのか?」を問うことがこれからの組織には必須なのではないでしょうか。

イタリアの3つ星レストラン「オステリア・フランチェスカーナ」で、ある家族が進化する伝統として評価の高いコースを食していた家族の事例は有名な話です。浮かない顔をしていた子供二人に給仕長は、躊躇なく街で一番のピザ店に電話をかけた。間もなくタクシーでピザが届くと、給仕長はそれをテーブルへと運んだ。勿論子供たちは感激すると同時に両親はこの対応に深い感銘を受ける。給仕長は「必要だったのは、いつものやり方を変えてみること、そして1枚のピザ。ただそれだけです」と語る話です。従来の考え方では、高級レストランのやることではないなどの批判が多いはずです。

トムハンクスの名演技で有名となった「ハドソン川の奇跡」は記憶している方も多いと思いますが、2009年のこの事件の際にも「何が出来るのか」との発想で対応して生まれた奇跡なのです。日本ビジネス界でもメルカリや任天堂などイノベーションで進化する組織には、この発想が必要不可欠なのではないでしょうか。まさに旧弊を打破しない限り進化はないのだと思います。

変化に舵を切る2024年

 大学と卒業生組織が一体となって大学の進化に向かうには、旧弊を打破できるかどうかが大きな鍵ではないでしょうか?

大学は、新たな教育市場である社会人教育市場に進出し、その受講生として卒業生に期待すべきでしょうし、実践知を持つ卒業生に研究・教育・社会貢献の協力を求めることが必要なのは明らかかと思います。しかし、「卒業生組織も高齢化しているし、なかなかそこまでの協力は期待できない」との考え方を変え、何が出来るのかを実施しなくてはならないでしょう。既に卒業生が起業家養成コースの講師を勤める、米国のように卒業生が研究のモニターに無償協力する、大学院設置のためのアンケートに協力するなど、寄付だけでなく様々な分野で卒業生を財産化が始まっているのです。

一方、旧弊が打破できない卒業生組織は大きな勘違いをしています。高齢化している組織は未だに全国支部総会を開催し気勢を上げますが、肝心の若年層や中堅層はいない。コストがかかり効果の薄い会報誌とイベントにコミュニケーションを頼る。傘下組織の支援が多く、肝心のICTコミュニケーションにコストを振り分けない。

実は母校に貢献する無償のボランティア支援を行わない限り、そして大学との一体感が見え、人脈が拡がらない限り、若年層・中堅層は関心も示さないのです。ある若年層の言葉を借りれば「親睦だけなら、我々から徴収したお金を使わないで欲しい。高齢者の自慢話も聞きたくないし、リアルで集まることに固執する組織には興味もない」とまで言われているのです。

在学生へのメンター制度で有名な昭和女子大坂東理事長は、メンター(卒業生以外にも拡大)で協力する社会人に対して「メンターの方々も貢献による満足度もさながら、若い方の考え方を知り、かつ自らがコーチングすることで成長していくことを実感して欲しい」と語られています。まさに、奉仕をすることで自分が磨かれる機会を提供できるのが本来の卒業生組織なのではないでしょうか。

もし、貴組織は旧弊を打破できない、具体的なやり方がわからないなどのお考えがあるようでしたら是非お気軽にメールを頂ければ幸いです。