大学経営における卒業生組織の重要性
明確な将来
6月5日厚生労働省が公表した2023年の人口動態統計では、出生数は72万7277人で過去最低、日本の人口は前年から84万8659人減と過去最大の減少を記録しました。日本が現状人口を維持するには、「合計特殊出生率=出生率」は2.07必要ですが、2023年度現在で1.20ですから、現在の少子化対策に効果が出ていない状況です。(ちなみに日本だけでなく、先進国も同様で奇跡の回復と言われるフランスでも1.68、米国は2022年で1.67、中国は1.02、韓国は0.72)
現在、総額3兆6000億の「異次元の少子化対策」を決め、改正子供・子育て支援法などの対策を打っていますが、大きな要因である「未婚化」「晩婚化」には必ずしも届かず、少子化は確実に進む状況です。
そうした中、早稲田大学は受験数を競うどころか2023年38,000人を超える学部生数を、教育の質を向上させるために20年後までに35,000人にすることを目標に掲げました。これは早稲田大学に限らず、少子化や日本の目指す方向性を考えて、東洋大学でも多教科型、英語外部試験利用、数学必須などの入試、そして2025年度より併願可能な学校推薦型選抜を採用し、教育の質をあげていく取り組みが加速しています。
そんな中、8月26日付日経新聞夕刊に「日本の子供5割がPC使わず先進国最低」の見出しはショックでした。情報受け身のスマホ頼り、7割以上の子供が自らデジタルコンテンツが作成できない状況は、日本において明らかに将来の大きなマイナス要因です。日本の抱える現状を鑑みれば、教育の質向上が大学経営に大きな影響を与えることは明確な将来ではないでしょうか。
厚生労働省 2023年の人口動態統計より
大学経営における収益構造の変化
現状では多かれ少なかれ学費依存が大学経営ですが、一定の学費値上げは来年以降確実に広がるものの、教育の質をあげ、大学ブランドを向上させていくには、当然ながら卓越した研究も必要となります。
結論から先に言えば、これからの大学経営において、3つの大きな流れがあると思っています。一つは、外部資金を確実に得て研究を行い直接的な研究費を得て知的財産収入も得るだけではなく、起業を促進し当該企業に投資して利益を得る流れ。二つ目は、社会人教育市場の獲得による収益。そして、三つ目は、米国の私学平均が事業収入の15%であるように、大学人気のバロメーターとなる寄付金の獲得です。
実は、この3つに対して具体的な施策を講じていくと、大学に対する熱烈な支持者を獲得していく必要があることがわかるはずです。
過去の専門学校のように不動産収益をあげる、事業会社を作って収益をあげることも必要でしょうが、大学ブランドを上げて持続可能な収益を上げることを考えた場合、前述の3点は大きな意味があるだけでなく、共通した取り組みが見えてくることがご理解いただけると思います。
熱烈な支持者であり、社会で活躍し産学連携等の橋渡しが可能で、生涯教育の大事な対象となるのは、やはり卒業生の存在ではないでしょうか。
時代遅れのアルムナイ
時代から取り残された卒業生組織については、また別の機会にお話しするとして、、、
親睦はとても大切なのですが、時間のある高齢者が、イベント中心、飲み会中心となり単なる気の合う仲間の集まりになっている場面を残念ながらよく見かけます。高齢化著しいのは、現役世代は忙しくてアルムナイに目が向かないと言い訳をし、女性が参画しないのも女性向けのイベントが足りないからだと言い訳をする。
目的意識に拘るZ世代からすれば、目的がノスタルジーに浸り、昔話に花を咲かせ、挙句には説教までされる場に会費を払って参加する意味は見いだせません。また、大学貢献と言えば、みんなから集めた会費を寄付したり、奨学金にしたりすることに決して多くの卒業生が賛同していないのではないでしょうか。残念ながら、まだそんなアルムナイは結構存在しているようです。
卒業生組織も大きく変革が始まっている
リカレント教育に急速に注力している大学の一つに東京都市大学があります。今回はその提供内容云々より、東京都市大学には卒業生組織である校友会会長は勿論、社会で活躍する卒業生企業のTOPを中心に「リカレント教育事業実施委員会※」を設立し、大学のリカレント教育の推進を支援しているのです。
卒業生が学び続け進化して、社会で益々貢献することは、卒業生自身にとって成長することですし、大学にとっては卒業生が活躍することが大学ブランドを向上させる大きな力になるだけではなく、社会人教育市場という新たな市場を開拓するなど、まさにWIN&WINの関係になります。
これはほんの一例ですが、産学連携に関して目標を持つアルムナイ、個人寄付金に大きな力を発揮するアルムナイ等々は段々と多くなりつつあります。
では実際にそんなアルムナイに変革できるのか?と思われる方もいらっしゃると思いますが、答えは是非お問い合わせください。悩むより是非お気軽にご相談ください。
※東京都市大学リカレント教育事業実施委員会
https://tcu-recurrent.netlearning.co.jp/pages/committee
参考:東京都市大学リカレントプログラム
https://tcu-recurrent.netlearning.co.jp/