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東洋大学校友会の挑戦

【改革序章】~高齢化の原因を考える

30万人超えの卒業生を抱える一般社団法人東洋大学校友会では、多くの卒業生組織が抱える参画者の高齢化と地域支部が活性化しないことを課題として認識されていました。卒業時にチラシを配るなどの努力は当然されていますが、中々新卒者を始め、若年層、中堅層がイベント中心の校友会活動に参画しない実態がありました。

従来は、なかなか若年層が参画しない原因を

「若年層は忙しい、校友会活動はゆとりが出来る年次にならないと参加しない」

「母校愛が昔とは違う」

「若年層に興味があるコンサートや推し活的イベントが必要では」

との半ば若年層参画を諦めたような意見が主流となっていました。更にその考え方は「親睦第一」と卒業生組織の存在意義を否定するかのような親睦団体化に拍車をかけ、年に一回開かれる地域支部の総会でも飲み食い中心で、若年層や中堅層にとって「参加しても意義があるのか」の疑問を払拭出来るものではないケースが散見されたのです。

そこで、東洋大学校友会では、多額の費用をかけて数百名の校友を集めるイベントに本当に効果があるのか?から始まり、若年層が単発ではなく持続的に参画してもらえる興味推定をアンケートで調査。大学の創立者井上円了先生が、生徒たちの意見を聴く場として開いていた茶会を現在版にアレンジしてZoomによる「真面目な雑談会」を開催し、若年層の声を会長自ら聞かれたそうです。その声を基に「校友会の存在意義は何か」に至るまで「哲学の大学」らしく、若年層が参画しない原因を分析しました。

特に、現在、現役世代が3分の2以上を占めるメルマガ会員からは、

・参画することで自己啓発や成長に繋がる

・自らの財産となる人脈が拡がる

・在校生への支援を通じて貢献を実感する

といった、まさに東洋大学の教育の心である「他者のために自己を磨く」を、社会人現役世代が望んでいることが分かっただけでなく、これまでの校友会は、時間に余裕のある高齢者が親睦中心に集まる会になっていたことに気づいたということです。

下記は2023年9月に内閣府が発表した「市民の社会貢献に関する実態調査」です。卒業生組織の本質は、ボランティアであり、その参加理由の上位2つが、「社会(母校・在校生・校友)の役に立ちたい」「自己啓発や自らの成長に繋がる」であることがわかります。

卒業生組織の本質とは

東洋大学校友会の神田会長は「新たな時代の魅力ある校友ソサエティの実現」をビジョンに掲げ、それがどのような会を示すのかを常に発信しています。新しい時代について、SDGs、Society5.0等を解説するだけでなく、常に進化を止めずに新しい味覚に挑戦する100年企業である「羊羹の虎屋」を例に挙げ、東洋大学の心である「他者のために自己を磨く=利他の精神」「活動の中で奮闘する」を実例と共に、年代別へ熱心に語り続けています。

単発的な講演会の実施や、親睦中心のイベントを開催するのが校友会ではなく、また、会社の社長になった人が偉いのではなく、それぞれの分野で様々な形で自己成長を続け努力している姿を社会に発信すること自体が、母校への一番の貢献であることや、同じ大学を出た人達が、母校の「建学の精神」を理解し、お互いに刺激し合い、そして母校・在校生・校友への貢献をすることを通じて、親睦が生まれ、多様性を理解し、そして切磋琢磨する中で成長していく集団こそが卒業生組織の本質だとも説かれています。

残念ながらそういったことがまだ理解できない方をちらほらと見かけるようですが、校友会改革の中で新たな大学支援事業活動、地域支部の活性化活動等を通じて実績を積み重ねる中、確実にその考え方が浸透し会が活性化しているのです。

脱イベント主義とICT化の積極推進

東洋大学校友会の活性化について、ビジョンの浸透方法、多様な卒業生が参画する仕組みとしての校友会事業、組織形態、風土の改革など様々な手段を講じていらっしゃるのですが、その中でもいち早く着手したのがコミュニケーション改革です。

従来の郵送による会報誌、総会やホームカミングデーなどイベント中心のコミュニケーションを、コロナ禍を追い風として一気にICT化を推進しました。ホームページを前述の校友会本質に合わせ大幅に刷新し、若年層・現役世代に最も効率的に届くメールマガジンを中心にコミュニケーションを実現したのです。

更に理事会運営も全てZoomへ移行(高齢者が多く寄り添った勉強会を開催)、定期的に代議員や年代別層へのZoom雑談会の開催を行い、大幅なコスト低減を図るだけでなく、迅速性、検証性効果を上げたのです。情報量も半端なく、母校愛醸成に繋がる大学の情報も随時発信されています。

【東洋大学校友会HP】https://www.alumni-toyo.jp/

その中でも、今回11月に実施した130周年記念式典は、ボランティア運営により一部動画の編集コスト負担を除き全くコストを掛けずに、全国の卒業生が閲覧できる式典を実現しました。この考え方は多額なコストをかけ、一過性に終わるイベントとは大きく異なりました。130年記念事業として、副会長中心に「次世代に襷を繋ぐ」をコンセプトとして企画を練り、未来の後輩に伝える動画版タイムカプセルを作成したのです。

ICTの苦手な高齢の支部長が悪戦苦闘し、Zoomに向かって話しかける姿は、まさにこれからの校友会のあるべき姿を感じます。動画の撮影にあたった事務局の豊田様は「動画撮影には腐心しましたが、高齢の支部長さん達が短い言葉でどのような支部にするかを語る姿には感動しました」とコメント。校友会活性の大きな要因になったようです。

全国の地域支部が一丸となってZoomに向かって話しかけ、その考えに賛同する大学学長、理事長からもコメントをいただき、その記念として若年層にも訴求できる動画は閲覧の価値ありですので、是非ご覧ください。

☆東洋大学130周年記念動画(百聞は一見に如かず)
https://www.youtube.com/watch?v=YGzVl2cF1l4

連携の必要性

 卒業生組織が単なる親睦団体から脱却し、母校・在校生・校友間の連携を強化し母校の最大支持者集団に変貌を遂げていく際には、大学との連携を密にするだけではなく、専門知識を有したパートナーとの外部連携が必要と言われています。

少子化著しい大学環境下、卒業生の方が母校への誇りを胸に活躍し、最大の応援団にしていくことに舵を切りたい方は、是非お気軽にご相談ください。