卒業生組織活性化診断1
Alumni(卒業生組織)の活性化が大学ブランドを向上させる。
ホームカミングデーに多くの卒業生が参加する、コロナ過で苦労する在校生に支援の手を差し伸べてくれる、卒業生が大学にとって頼りになる、或いは財産である存在とは何を以て評価するのでしょうか?しかし、定量的な数字を冷静に分析し目標を共有している大学はあまりお目にかかりません。
また何故か卒業生組織を「頼もしい支援者」と本心で思っている大学がそう多くないのが本音ではないかと思えてしまいます。さすがに高等教育の府ですから、言葉を選ばれますし、「頼りになる存在だったら嬉しい」本音は見え隠れします。
では、今の卒業生組織が大学ブランドを向上させる存在か否か、2015年に公開されたもはや古典の域になっているマッキンゼーが提唱した組織分析のフレームワーク「組織の7S」の卒業生組織版で分析してみてはどうでしょうか。
単に大学経営に物申すような古式ゆかしき卒業生組織に業を煮やし、大学が直接卒業生に働きかけをすれば良いと言う考え方を聞いたことがあります。様々な考え方があることは理解しますが、別個の組織として存在するからこそ、自発性が重要視され、ボランティア精神も醸成されていくのです(大学から言われて何かを手伝うのではなく、自分達の考えで支援する)。
つまり、大学からの直接的な情報より第三者である卒業生からの情報の方が、より信頼性や信憑性が増すと言った「ウインザー効果※」等を考えれば、大学と卒業生組織で強固な信頼関係を構築した方がベターではないかと思います。
※「ウィンザー効果」ラーメン屋のご主人が「うちのラーメン美味しいよ」と言って勧誘するより、通りがかりのひとが「あそこのラーメン美味しい」と第三者や口コミを介して知る情報が信頼性が増すという心理効果。
卒業生組織活性化診断(基本)の7つの要素
まずは卒業生組織が活性化しており大学と強いパートナーシップが結べる状態か否かを確認して見ましょう。ちなみに、「だからうちの卒業生組織はダメなんだよ」と言う反応は期待しておりません(笑)。全て解決策はあります。いくら美味しい農作物の種があっても、豊かな土壌や天候等に合わせた手入れがあって初めて「人を感動させ得るもの」が出来上がると思っています。(ちなみに一見華やかなイベントや、物で釣る一過性の企画ではなく、持続可能な仕組みを指しておりますので、それはまた別の機会にお話しします)
【診断のフレームワーク】
上記7つの視点で見ると活性化している卒業生組織とそうではない組織で大きな違いが見えてきます。視点を示すだけではわかりにくいと思いますので、今回は①についてお話しさせてください。
例えば、若い人がなかなか参画しないで困っているという声を聴きます。「若い人は愛校心が足りない」「第一志望の学生が少ないから」との分析もあるのですが、経験則ながら20代~30代でも「母校に誇りを持ちたいですか?」のアンケートに9割以上の方が「はい」とお答えになります。
若い人は卒業後に実社会で揉まれていますし、ボランティアに参加できない理由に「時間がない」が高くあげられています。それを踏まえて、自分の時間に参加できる仕組みが構築されているか否かで参画率は大きく変わるのですが、高齢者の多い卒業生組織ではコロナ過で若干声が小さくなっているものの「会う」「飲む」が大好きです。オンライン参加・平日、それも金曜日ではなく水曜日20時以降などではかなりの参加率が期待できるのです。
① 母校愛基盤について
ずばり母校愛の源泉がボランティアかどうかが一番のポイントになります。例えば、会員制のリゾートクラブは投資したコストに見合うリターンが受けられるか否かで判断されるいわゆるGive&Take型ですが、卒業生組織はその組織の事業を通じて自己啓発に繋がる苦学生を支援したい、卒業生としての責務といったボランティア精神が重要となります。
会員を集める為にGive&Takeの考え方を用いて必要以上の福利厚生策を講じ、卒業生利益を優先しビジネスネットワークに参加することでの利益を喧伝するケースもありますが、その方々は結局ボランティア事業に参画する傾向が少ないのも事実です。
ボランティアは自発、無償、奉仕が原則故に、その源泉たる母校愛醸成を共通の価値観にしているか否か、これがまず活性化している卒業生組織の見極めになると思います。
ここまでお読みいただき有難うございます。もし、この先を知りたい方がおられれば次回以降お話しさせて頂くと共に、すぐに全部知りたいと言われる方はお気軽にお問い合わせください。