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2022年ICT推進最大の難敵は?

何故都心の7,000万円以上のマンションが売れる? 

先日TVを見ていると、つくばエクスプレス沿線にある「流山おおたかの森」が子育て世代に大人気という特集をしていました。確かに子育て世代にリーズナブルな価格帯の一戸建てと圧倒的な保育環境、便利な大規模SC、ちょっと歩けば大自然。コロナ禍でますます人気が出ることは頷けますし、郊外ならではの暮らしやすさとして大宮や浦和も人気急上昇中のようです。

しかし、不動産屋さんが煽っている面も否定はしませんが、都心の高級マンション(勿論億を超える)の人気が出て、バブル超えの新築マンション平均7,000万円突破の勢いだそうです。

誰が買うのか?世界水準ではロンドンや上海よりも低いと煽る不動産情報に呼応して、実は株価が低迷する中、地方の富裕層や中国の投資家がこの価格を支えているともっぱらの評判です。

不動産の専門家ではありませんので、「不動産とはそういうもの」と言われればそうなのかもしれません。ただ、ある面では不動産神話を信じる地方の富裕層やバブル期と同じ考え方、つまりこの「既成概念」は結構厄介な気がするのです。

既成概念?新しいものに対する懸念?

大学生がオンラインだけの授業体制に不満を露わにしたのは、とても良く理解できます。キャンパスという空間で友人を作る、課外活動で生涯にわたる友人を作る、スポーツで汗を流すといった活動は、確かにオンラインでは難しいですし、授業を受ける際に誰がどのあたりをメモしているか、誰が頷いたりしているかは、オンライン上では察することが厳しい部分もあります。

一方、組織で多くの時間を占める「会議」では、オンライン会議の方が実は優れている点が多々あります。集合する時間とコストは実際の会議との比較にはならない合理的な仕組みと言えます。

過去の会議では発言する人が限られ、声の大きい人、更に威圧感のある方や権力のある方の発言に左右されやすい傾向が多々ありました。リアルな面談会議にこだわる方々の本音は「操作が面倒くさい」「全員の顔色など空気感を見て発言するのが得意」ではないでしょうか?

否定的な方々は「対面でなければ情熱は伝わらない」「顔を見てワイワイガヤガヤが大事」は、オンライン会議に慣れた集団の方からすれば、単に新たなコミュニケーション手段を否定するだけの言い訳と切り捨てられてしまいます。

オンライン会議に慣れた集団では、少人数に分かれて意見を出し合うブレークアウトセッション機能を利用し、今まで発言されない方が発言を行い従来にない活発な議論が実現しています。決を取る際でも、一瞬で集計されますので、顔色を見て手を挙げる必要はありません。また、不足した説明はチャットで捕捉したり、その場で他事例を共有したり、提供する情報量も雲泥の差となります。

ビジネスの世界では、距離を淘汰して世界を瞬時につなぎ、その場で自動翻訳も使い、そしてインターネットの世界で知の共有を図り生産性の向上に努めていますが、その最も大きい阻害要因は、自分の得意領域或いは慣れた環境に理屈をつけ、新たな手段に馴染もうとしない方々の存在と言えるかもしれません。

今求められているのはイノベーションでは?このイノベーションを最も邪魔するのが既成概念なのです

高等教育では多様性を含め、イノベーション人材の育成が求められています。今回はイノベーション(モノや仕組み、サービス、組織、ビジネスモデルなどに新たな考え方や技術を取り入れて新たな価値を生み出し、社会にインパクトのある革新や刷新、変革をもたらすこと)についてお話しするのではなく、その阻害要因について皆さんに考えて頂きたいと思いました。

高齢化著しい中、より良い社会の創出にはイノベーションが必要であることは言うまでもありませんが、今の組織を支えている方々が、次世代にとって必需品であるICT化に対して否定的であることが一番大きい阻害要因ではないでしょうか。

コロナ禍で全国知事会議はオンラインであっても、国会では対面の質疑を実施することに疑問を持つ方は少なくないと思います。また、FAXで新型コロナウィルス感染状況の報告を集計していた日本でDXが進まない一因は、実は通信環境の遅れなど表面的なこともありますが、これらは下記に示す日本特有の問題ではと、ITコンサルのガートナーが指摘していました。

① リスクの許容度
確かに評論家や追随者は自己責任が苦手ですし、組織上層部は一番不確実性を嫌がるともいわれます。

② 権力格差
上司・先輩が部下・後輩に指示を出し、部下・後輩は発言しにくい。その上層部は対面会議が大好き。

③ 多様性欠如
多様性はイノベーションの源泉とも言われますが、上層部の顔色を見て判断する金太郎飴組織や、何でもかんでも反対して出る杭を打つ批判が目立つ批判文化組織が多いのも事実。多様性はまず認めたがらない。

もはや待ったなしのDX化には高齢者の参画が鍵

2022年は団塊の世代が75歳、後期高齢者に達します。50年以上の伝統がある大学の卒業生組織では、大半が高齢化問題に悩まされ、卒業生の最も人数が多いボリュームゾーンである若年層や中堅層が参画しない問題は顕在化しています。

従来通りのイベント中心、懇談会中心の卒業生組織運営ではボリュームゾーンの卒業生からは見向きをされなくなります。より多くの卒業生を活性化するには、DX化は避けて通れない道です。既成概念に固まる諸先輩でも、「次世代の為に」「皆さんの知恵をより多くの人に伝える為に」を旗印にDX化が着実に進んでいる組織もあります。

どのようにすれば良いか、どうしたら?とお悩みがあればお気軽にご相談ください。本年も宜しくお願い申し上げます。